産経新聞大阪夕刊に「あなたの日本語大丈夫?」というタイトルで1年半にわたり掲載されたコラムの中からいくつかご紹介します。日々、若い人たちと話したり電車の中で見かけたりすることの中から、ことばにまつわることを、あれこれ思いつくままに書いたものですが、そんな中に話しことばの酸いも甘いも・・・が息づいているのではないかとも思うのです。
特集: あなたの日本語大丈夫?
2017年3月24日
一生懸命に話していて、ふと、自分の話が相手に理解されているかどうか、不安になったことはありませんか。
コミュニケーションは、話し手と聞き手とのキャッチボールで成り立っています。話し手が投げたボールを聞き手がうまくキャッチして、初めてコミュニケーションが成立するのです。よい聞き手がいればこそ話し手の話も生きてきます。
よい聞き手とは、相手の話をしっかり受け止め、的確に反応し、話し手の意欲を高められる人といえるでしょう。
では、よい聞き手になるには、具体的にどうすればいいのでしょう。
大事な要素はいくつかありますが、なかでも「あいづち上手」になることをおすすめします。
「あいづち」は「聞いていることを示すサイン」なのです。
話の流れにあわせ、タイミングよく、「あいづち」を打つことによって、話し手は元気づけられ、話しやすい雰囲気になるのです。会話や対談で使われる代表的な「あいづち」をあげてみましょう。
【確認】 そうですね、そうですか、...ということでしょうか
【同意】 私もそう思います、同感です、なるほど、よくわかります
【同情】 それはお気の毒に、ひどい話ですね、お察しします
【感心】 さすがですね、感心しました、素晴らしいことですね
【喜び】 よかったですね、それはなによりです、うれしいことですね
【驚き】 本当ですか、信じられません、驚きました
【うながし】 それでどうなったのですか、とおっしゃいますと、結果はどうでしたか
【疑問】 まさか、それはなぜですか、どうしてでしょう
【転換】 それはそうと、話は変わりますが、ところで
【反対】 そうでしょうか、そうは思えないのですが
「あいづち」で難しいのは、反対の意思を伝える場面です。
いかに丁寧なことばづかいでも相手の言うことに反対するのですから、「おっしゃることはよく分かるのですが、こんな考え方もあるのではないでしょうか」「生意気をいうようですが、私としては...」などと、できるだけ相手を傷つけないよう思いやりの心を持ってことばを選ぶことが大切です。
誠実な態度で話を聞き、話の合間に適度にあいづちを打ち、話しやすい雰囲気をつくる。これであなたも「聞き上手」になれるはずです。