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「よろしかったでしょうか」の不思議

「お客さま、お茶はよろしゅうございますか」
新幹線の中で、お弁当を買ったお客さまに、30代半ばぐらいの、人の良さそうな男性の販売員が、そう声をかけました。久しぶりに聞いた「よろしゅうございますか」ということばが、私の耳に心地よく響きました。

「お寒うございます」「うれしゅうございます」「あぶのうございます」など、今ではほとんど聞かれなくなったことばです。
代わりに最近は、
「コーヒーとケーキ、ご注文は以上で""よろしかったでしょうか"」
「ご住所、お電話番号は、この前書いていただいたので"よろしかったでしょうか"」
など、もっぱら「よろしかったでしょうか」が使われているようですが、私のような年配の者はどうも違和感があるのです。

このことば、「ご注文を承りました。今から復唱いたしますが、私のお聞きしたことに間違いは"なかったでしょうか"」とお客さまを丁寧に扱うつもりでだれかが言い出したのがだんだん広まって、マニュアル化したのではないかと思われます。注文の品はまだ持ってこないのに、過去形にするのはおかしいともいえますが、例えば「次の日曜日、お天気だったらハイキングに行こう」などと、これから先のことに「お天気だったら」と過去形を使っていますから、あまり説得力がありません。

金田一春彦著の「日本語」(下)によれば「白い楽しいなど『い』で終わる形容詞の丁寧体は作りにくい。幸い今日では『白いデス』が正しい形として公認されているが、『白カッタデス』『白イデシタ』などは、どうも耳になじまない」とあります。ナルホド、話しことばの場合、正しい、正しくないという判断とは別に、耳になじまない、違和感がある、ということばがあるのですね。

でも、「よろしゅうございますか」は何となく古めかしくて若い人たちにすすめる気持ちになれません。「よろしい」に「です」をつけた「よろしいですか」または「よろしいでしょうか」ならシンプルで丁寧で、文法にもかなっていて、不自然さもなくていいのではないでしょうか。「よろしいでしょうか」がマニュアルとして定着するとよろしいですね。

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