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謙譲語にご用心

きれいなことばで話しているのを聞くのは、とても心地よいものです。ところが、その会話に、たまに「あれっ」と思うような敬語の間違いがあったりすると、とても残念な気持ちになります。

敬語で多い間違いは、自分の動作に使うべき謙譲語を尊敬語と間違えて相手に使ってしまったり、身内の人のことを話すのに尊敬語を使ってしまったり、というケースです。

市役所の窓口で「このような書類をいただかれると思いますので…」、料理番組で「焼き上がりにちょっとおしょうゆをかけていただかれると、香ばしくておいしいですよ」、お父さんの病気いかがですか、と尋ねられて「父は一日も早く元のように元気になりたいとおっしゃっています」など。

正しくは「書類をおもらいになる(もらわれる)と思いますので」「おしょうゆをかけて召し上がると」「元気になりたいと申しております」と言うべきです。

「もらう」ということばより「いただく」の方が丁寧で上品なことば、と思われるからでしょうか。美化語的な使い方をしている例をよく耳にします。

このほか、「参る」「伺う」「申す」「拝見する」「拝借する」「差し上げる」などの謙譲語を間違って相手に使わないように。

このポイントをしっかりつかんでいれば、敬語は九分通り完成といえるでしょう。
「あなたも参られますか」「この前、部長が申されたことですが」「いつおうかがいになるのですか」などと使ってはいませんか。うっかり聞いていると、良いことばづかいのように聞こえますが、いずれも相手に対して失礼な言い方です。「あなたもいらっしゃいますか」「部長がおっしゃったことですが」「いつおいでになるのですか」と必ず尊敬語を使ってくださいね。

ただし時代劇を見ていると、「殿がこう申された」などと言っています。昔は「申す」をこんなふうに使っていたのでしょうか。でも今は「申す」は謙譲語で、相手の動作に使うことはできません。
また「吉野と申しますと、桜が有名で?」とか、「まもなく電車が参ります」とかの「申す」「参る」は謙譲の意味ではなく、聞き手に対して丁寧に言うために使われていることばで、丁重語といわれていれるものです。うーん、日本語ってやっぱりむずかしい!!ですね。

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