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聞くことの大切さ、難しさ

私は、よく講演を聞きに行きます。講演会は、いわばライブ。講演者が直接、聴衆に語りかける、その場限りのパフォーマンスが魅力です。どんな話が飛び出すか、期待にわくわくしながら出かけます。

ところが、そんな私でさえ話を聞いているうちに、不覚にもコックリ、コックリと居眠りをしてしまうことがあるのです。自ら望んで一生懸命聞こうと意気込んできたはずなのに、何たることでしょう。

考えてみると、古今東西、話をしている人が居眠りをしてしまった、という話は聞いたことがありません。壇上で話している人は、どのように話せば自分の考えを正しく伝えられるか、頭の中をフル回転させて熱弁をふるっていますから居眠りどころではありません。体はいつも以上に活力に満ちています。

それにひきかえ、聞いている人はじっと座って同じ姿勢で静かに耳を傾けているだけなので、だんだん疲れて話もうわの空。いつのまにやらうとうと、ということになってしまいます。

話すことと聞くことは、こんなにもテンションが違うのです。聞くことは、実は話すことよりもずっと忍耐力と集中力の要る過酷な作業なのではないでしょうか。特に講演のような、一方通行の独話の場合、聞く側は単なる観客になってしまわないよう、話している人と同じくらい、テンションを上げて積極的に聞く必要があります。話の内容を自分のこととして、話している人と一緒に考え、話についていかなければなりません。他人事のように聞いていてはとても集中力を保つことはできないでしょう。

現代は、音やことばが街中にあふれていて、だれもが耳が麻痺し鈍感になって騒音の中で暮らしています。落ち着いて人の話をじっくり聞くということが苦手の人が多いようです。
「聞く」ということは理解することで、自分の内部を豊かにする、大切な行為です。自分の内側に蓄積した豊富な内容があるからこそ、話し、表現するときに、実のある話ができるのです。

集中力を養って、「聞く」ことによって自分を豊かにしたい、と思う人に、私がおすすめしているのは、「メモを取りながら聞く」「聞いたことをメモを見ながら友人などに話して、内容を自分のものにする」という方法です。睡魔撃退にも効果抜群ですよ。

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